Ⅰ.問診
ペインクリニック外来における問診は、整形外科疾患由来の疼痛を正確に把握し、病態の推定と治療方針の決定につなげるための第一歩である。単なる「痛い」という訴えを超えて、痛みの性質・時間的推移・既往歴・生活背景を包括的に評価することが求められる。
1. 痛みの部位と性質
・体性痛:鋭い、局所的で「ズキッ」とするような痛み。筋・骨・靱帯由来で、患者は指で部位を特定可能。
・神経障害性疼痛:灼熱感、しびれ、電撃様痛。デルマトームに一致して放散。椎間板ヘルニアや帯状疱疹後神経痛に典型。
・深部痛:鈍く重い、圧迫感を伴う痛み。椎間関節や仙腸関節障害に多い。
2. 時間経過
・急性発症:外傷や椎間板ヘルニアを疑う。
・慢性経過:変形性関節症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症に多い。
・動作・姿勢との関連:前屈で増悪(椎間板)、後屈で増悪(椎間関節・狭窄症)、歩行で増悪し休息で軽快(間欠性跛行)。
3. 既往歴・外傷歴
・椎間板ヘルニア:再発や瘢痕圧迫を疑う。
・骨粗鬆症:軽微な外傷で圧迫骨折を起こしやすい。
・変形性関節症:慢性の関節痛・可動域制限。
・脊椎手術歴:術後瘢痕や隣接椎間障害のリスク。
4. ADL・生活背景
・ADL:歩行、階段昇降、入浴、着替えの制限を確認。
・職業歴・生活習慣:重労働や長時間デスクワークは腰痛を助長。
・心理社会的要因:抑うつ、不安、不眠が慢性疼痛に関与。
Ⅱ.身体診察
1. 視診・触診
・脊柱アライメント:側弯、後弯、前弯異常を確認。
・筋萎縮:神経障害や廃用による左右差を評価。
・圧痛点・トリガーポイント:椎間関節、仙腸関節、筋膜性疼痛で重要。
2. 神経学的所見
・感覚障害:デルマトームに沿って評価。
・運動障害:徒手筋力テストで確認(L4大腿四頭筋、L5前脛骨筋、S1下腿三頭筋)。
・腱反射:膝蓋腱反射(L4)、アキレス腱反射(S1)。
3. 整形外科的誘発テスト
・椎間板ヘルニア:SLR、FNSテスト。
・椎間関節障害:Kemp’s test。
・仙腸関節障害:Patrick/FABER、Gaenslen test。
・肩関節障害:Neer impingement、Hawkins test。
・膝関節障害:Lachman、McMurray test。
Ⅲ.画像検査
・X線:骨変形、椎間腔狭小化、骨折、圧迫骨折、アライメント評価。
・MRI:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、軟部組織病変、腫瘍を描出。
・CT:骨構造の詳細、微細骨折や複雑骨折の評価に有効。
・骨シンチ/PET:骨転移、炎症、腫瘍の全身評価。
Ⅳ.電気生理学的検査
・神経伝導検査(NCS):末梢神経障害を評価。伝導速度低下は脱髄、振幅低下は軸索障害を示唆。
・筋電図(EMG):神経根障害と末梢神経障害を鑑別。安静時異常放電、運動単位電位の変化を評価。
Ⅴ.ブロック診断
・椎間関節ブロック:腰痛の椎間関節性か否かの診断。
・仙腸関節ブロック:仙腸関節障害の確定診断。
・選択的神経根ブロック:責任神経根を同定し、手術適応の判断に有用。
・トリガーポイント注射:筋・筋膜性疼痛の確認。
Ⅵ.鑑別診断のポイント
1. 整形外科的疾患
・変形性脊椎症:骨棘形成、椎間板変性。
・脊柱管狭窄症:間欠性跛行、MRIで診断。
・椎間板ヘルニア:急性腰痛+坐骨神経痛、SLR陽性。
・骨粗鬆症性圧迫骨折:高齢女性に多い、X線やMRIで確認。
・変形性関節症:膝・股関節の関節裂隙狭小化、骨棘形成。
2. 内科的疾患との鑑別
・帯状疱疹:皮疹出現前に強い神経痛様疼痛。
・腎結石:急激な側腹部痛、血尿を伴う。
・大動脈瘤:背部痛・腰痛で発症し致命的になり得る。
・消化器疾患:胃潰瘍、膵炎、胆石症などが背部痛を模倣。
Ⅶ.まとめ
身体診察は、
1. 視診・触診で構造的異常を把握し、
2. 神経学的所見で障害レベルを同定し、
3. 整形外科的誘発テストで病態を裏付ける、











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