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麻酔科医による麻酔科医と麻酔科研修医のためのブログ & 麻酔科医、次の一歩『ペインクリニック』専門医合格集中講義

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麻酔科医の仕事の中で、最大のウエイトを占めるのが手術中の麻酔管理である。

麻酔管理の失敗は、即、患者の生命に関わる。

このため私たち麻酔科医は、日々かなりのストレスにさらされる。

悪魔を出し抜け! (文庫)
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2017-07-03



ストレスをできるだけ軽減し、尚且つ、安全な麻酔管理ができないか?

問題が発生する状況を考えてみよう。

まだ麻酔管理に不慣れな研修医や若手の麻酔科医、少し慣れてきた若手麻酔科医、よぼよぼの引退まじかの麻酔科医が問題を起こす確率が高い。

どの状況も、自分で「考える」ということを疎かにしているときに事件は起こる。

ナポレオン・ヒル博士に言わせれば、「流される」状況にある。

成功哲学においては、「考える」人、「流されない」人が成功を手に入れるのだ。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復
スティーブン・R・コヴィー
キングベアー出版
2013-08-30



麻酔管理を成功させるには、つまり、考え・流されない人になることである。

悪い方(つまり、危機的状況)に流されないためには、常に考える人でなければいけない。

考える人になるためには、自らを扇動する必要がある。

日々の麻酔管理を漠然とおこなうのではなく、計画的に目標をたてる習慣を持とう。

そうすることによって、その習慣はあなたを扇動し、考え・流されない人にして麻酔管理に悪魔を寄せ付けない。

(i)↓だからって、居眠りしながら麻酔管理してはダメですよ!
ジェームス・スキナー「成功の9ステップ」オーディオコース 特別版


なんか、心臓麻酔科医はちょっとすげ~みたいな風潮がある。

経食道心エコーなんかちゃちゃっとできたらカッコいい。

周術期、心外に的確なアドバイスができたならもう周りは教祖様状態だ。

でもだよ。

どこがすげ~っだろう。

俺なんて術後は手術室で覚まさなくっていいし、

人工心肺中はほとんど何もすることないし、、、

「技術屋」っていう感じなんだよな。


俺が麻酔科医になったとき、先輩から「管屋」になるなと言われた。

挿管、硬膜外カテーテル、点滴、A-ライン、胃管などなど麻酔科医はまさに「くだ」との格闘である。

まさに職人技。

しかし、それは麻酔科医の本題ではない。

如何に周術期管理を行うか?

麻酔管理の良し悪しが、患者の予後に大きく影響する。

私たちは麻酔科医である前に医師である。

技術屋になってはいけない。


とはいっても、頭でっかちの麻酔科医は嫌われる。

仕方ない、経食道心エコーを極めますかね。


【オススメ書籍】

まずはやっぱりこの2冊から。
『初心者から研修医のための経食道心エコー』


初心者から研修医のための経食道心エコー―部長も科長もみんな初心者
初心者から研修医のための経食道心エコー〈2〉―部長も科長ももう初級者

「心臓」で迷子にならないために地図を持とう。
『心臓外科医が描いた正しい心臓解剖図: 透視図→心カテ 断面図→心エコー 見たいところが見える』




資格はとれるものはとれるだけとれ!これ鉄則。
→日本周術期経食道エコー認定委員会
http://www.jb-pot.com/

テスト対策は大切です。
『周術期経食道心エコー図―効率的に学ぶために』



暗記対策:『ずるい暗記術』



「答え→答えと問題→答えと問題、解説」でやれば、忙しいあなたも大丈夫ですから。


薬剤誤投与防止対策
(図1)薬剤誤投与防止対策

麻酔管理上気を付けなければいけないこと、その一つに薬剤誤投与がある。

麻酔科医が使用する薬剤は、毒薬だったり、循環や呼吸に関係するモノである。

その誤投与は即重篤な合併症を引き起こす。

人は間違いを起こす。

誰でも。

麻酔管理になれていない新人、そして、ベテラン麻酔科医も誤投与を起こす。

薬剤誤投与のリスクを少なくする努力が必要である。

その一つとして、写真(図1)のようにすることをオススメしたい。

薬剤を投与するときは、シリンジの目盛りをみて投与する。

これは誰でもすることである。

この時に、薬剤がなんであるか一目でわかるようにすれば誤投与のリスクが低下する。

目盛りを見るときに、薬剤のネームシールが見えるように貼ることがポイントである。

これは簡単にできる方法である。

このちょっとしたことが、あなたを医療事故から守る。



また、

薬剤は希釈して使用するが、濃度を書かない麻酔科医がいる。

麻酔管理はチームで行われる。

各施設で使用する薬剤の濃度を一定にすることは当然である。

濃度が書かれていないと希釈した者以外が使用するときに問題となる。

緊急時に使用しようとしても使用できない。

ちょっとした濃度の差で、大きな反応の違いを示すからだ。

濃度はきちんと書こう!


(補)薬剤誤投与の事例

アルブミン製剤とラボナールの誤投与


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