レミフェンタニルやデスフルラン、ロクロニウム、スガマデクスなどのおかげで、全身麻酔管理は臨床研修医も麻酔科のベテラン医と同様にできる時代になった。
神経ブロックもエコー下に施行でき、熟練のワザは必要なくなった。
ベテランより若手の方がエコーの扱いが上手だったりする。
もうベテランができるベテランらしい手技はないのか?
一つだけある。

硬膜外麻酔の穿刺部位
麻酔実践ハンドブック改訂第4版 p144 (表5 硬膜外麻酔の穿刺部位と初回投与量)より



それは硬膜外麻酔だ。
硬膜外カテーテルの留置にはコツがいる。
百戦錬磨のつわものでなければうまくできない。

硬膜外麻酔の難しいところは、硬膜外カテーテルを留置しさえすればいいというわけではないことだ。
正しい部位に硬膜外カテーテルを留置しないといけない。
私が若い麻酔科医の手技をみていて思うことは(言いたいことは山ほどあるが)、そもそも穿刺部位が違っているということだ。
手術する部位によって穿刺する部位は異なるのだが、どうも2,3椎間以上ずれている。
2,3椎間ずれていると投与量を多くしないと鎮痛できない。
局麻の量が多くなれば血圧低下などの合併症が増える。
穿刺前にきちんと手術部位と穿刺レベルを確認してもらいたい。
とくに硬膜外鎮痛をしているのに術後に他のNSAIDsなどの鎮痛薬を必要とする患者が多い人は、もう一度確認しよう。