とある総合病院での出来事。
救急は2次まで対応する。
麻酔科医は常勤である(そう私です)。

そんなある病院、救急外来での光景だ。

老人ホームから肺炎疑いの高齢者が、救急搬送されてきた。

運ばれてきたとき、呼吸状態はかなりやばい。

このときの救急当番は、臨床研修医と内科部長である。



気管挿管が必要と判断したお偉い内科部長。

臨床研修医に気管挿管するように指示した。

あっぷあっぷの高齢患者とはいえ、喉頭鏡をかければ抵抗する。

もちろん挿管できない。

そこで内科部長は、枕を取るように指示。

再度チャレンジ。

で、またまた失敗。

内科部長、今度は患者全体を頭側に移動するように看護師たちに指示。


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上図のような状況になった。↑↑↑本当です!

説明しよう。
患者の頸部から頭部がストレッチャーから落ちている。
後屈も後屈、そして頭は宙ぶらりんの状況である。
この状況では、口よりもかなり上部に喉頭蓋があることになる。
俺でもさすがにこのまま挿管はできないだろう(いや、俺ならできる)。




再々度チャレンジ!

もちろん挿管できません。

ここで、内科部長が変わるということはしません、指示だすだけ。



この状況に耐えれない看護師が私に連絡。

すぐに行くと上図の状況で何度も挿管にトライしてました。

なんで来たお前、みたいなお偉い内科医の視線を無視して、

すぐに患者を足元に下げ、頭に枕を入れて、スニッフィングポジションにして、挿管しました。

ちなみに、総入れ歯で歯もなく、とても挿管しやすい人でした。

ほんの数分の出来事。

また看護師さんたちの俺の株が上がったな。


ストレッチャから頭を出して下げるというのは今回が初めてだったけど、

挿管困難で呼ばれる時に目にするのは、枕をわざわざ外していることだ。

だから、私がその場に行ったらはじめにすることは枕を入れること、スニッフィングポジションをとること。

枕を外して頭を低くしたら、挿管を難しくしているってこと、内科医の皆さん知ってますか?

スニッフィングポジションって習わなかった?

看護師でも知ってますよ!
→ 気管挿管時に頭を高くするのはどうして?


麻酔科医のあなた挿管困難のとき枕外してません?
※これはフィクションです。