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麻酔科医による麻酔科医と麻酔科研修医のためのブログ & 麻酔科医、次の一歩『ペインクリニック』専門医合格集中講義

2017年01月

まずはこの3冊

ペインクリニック専門医対策3冊


大学受験勉強を考えれてもわかる通り、あれもこれもと書籍を大量に買い揃えるのはダメです。
頭がこんがらがり、試験に失敗することになります。
基本的な「核」となるモノが1つあれば十分です。
ただ、ペインクリニック専門医試験対策にはどうしても3冊必要です。
なぜがというと、

・ペインクリニック全般(ペインハンドブック ペインクリニック・疼痛緩和Q&A199)←かなりコンパクトにまとまっている名著です。

・痛みの基本概念(痛みの考えかた しくみ・何を・どう効かす)←私は「ペインクリニシャンのためのキーワード100」という俗に黄色本と言われるものを使用しました。

・痛みの漢方治療(「とりあえずロキムコ」から脱却!痛みの漢方治療)←漢方は痛みのみにターゲットを絞りましょう。痛み以外にも興味があるなら「絵でみる和漢診療学」がいいです。

の3つの分野に分けて学ぶ必要があるからです。

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次に敵を知る

上記3冊を漠然と読んでもダメです。
ペインクリニック学会から過去の専門医試験問題が発表されています。
最低でも10年分は目を通すようにしてください。
問題のポイントなどを上記3冊の関連するところに印を付けていきましょう。
10年分一通り終わったら、あとは3冊を何度も見直します。
3冊では足りないと感じるところは、他の書籍などで調べ、3冊の関連分野に追加しましょう。

ペインクリニック


あとは怖いものなし 

10年分も過去問をチェックすると、毎年出る問題はもちろん次に出される問題もわかります。  
問題は、
毎年出る問題、何年かごとに出る問題、最近のトピックス問題で構成されています。
なぜ言い切れるかというと、専門医試験というのはちゃんと勉強してきた人は通る試験だからです。
重箱の隅を楊枝でほじくるような問題は出ません。
そうすると試験問題を予想することは簡単なのです。
事実、私が受験したときは問題の100%が予想通りでした。
実は、その年は今まで出たことがない(10年間で)問題が出題されたのですが、それも問題形式まで完璧に的中させました。
過去問10年分を「ペインハンドブック ペインクリニック・疼痛緩和Q&A199」にチェックしたのですが、ある項目のところだけチェックが付きませんでした。
でも、そこは誰が考えてもペインクリニックの分野では重要な内容でした。
これは絶対に出る!っと思ったのです。
ですから、本番でその問題をみたときに(一番最初の記述問題だった)、合格を確信しました。
 まあ、口頭試問はまったく対策してなくて、ちょっと慌てましたけど・・・。

(i)推薦本!!


麻酔管理中のディプリバンの持続静注はどうしていますか?

「TCI」それとも「mg/kg/hr」?

ディプリバン
 
能書きによれば、皆さんご存知のように、導入は通常、成人にはプロポフォールとして2.0~2.5mg/kgで就眠が得られる。
 
維持は、適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節するのはもちろんだが、プロポフォールとして4~10mg/kg/hrの投与速度で適切な麻酔深度が得られる。

これに対して、TCI(target controlled infusion)とは、薬物動態モデルを用いて輸液ポンプの投与速度を調節し、望んだ値に薬物濃度をコントロールする方法。

私は個人的には、mg/kg/hrを好みます。

プロポフォールを持続で投与する時には、レミフェンタニル(アルチバ)持続静注か硬膜外麻酔などの鎮痛法を併用していますのでBISなどをモニターしながら4.5mg/kg/hrで投与を開始します。

導入時には、レミフェンタニル0.3μg/kg/minの持続静注かフェンタニル100μg投与と合わせて、2.0mg/kg投与しています。
 
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医局の方針としては、TCIを使用するようになっています。

TCIの良いところは、過量投与にならないということです。

導入時もTCIならば、徐々に投与されますので血圧の低下が起こりにくいという利点があります。

しかし、裏を返せば過量投与にならない代わりに、投与量が少なくなり術中覚醒の危険もあるということです。

もちろんBISなどで麻酔深度をモニターしますが、筋弛緩薬やフェンタニルなどを投与しても数値が下がります。

TCI自体には問題はありません。

しかし、TCIの設定(数値)を決定するのは私たち人です。

この点、吸入麻酔薬のように、機械的に4.5mg/kg/hrのように一定にする方が良いのではと思います。

もちろん吸入麻酔薬に比べれば、プロポフォールは個人差が大きいですが…。

参考書籍;

麻酔管理にアルチバを使用するのはキライだ。

なんだろう?アルチバって。

術中はアルチバを用いることで上手い麻酔管理ができる。

ミズチバ

本当だろうか??

本当に上手い麻酔管理ができているんだろうか?

確かにアルチバを吸入麻酔やプロポフォールと併用すれば麻酔管理はとても楽だ。

だが、術後の痛みは術中のアルチバの使用量に比例して増す。

その予防的対策としてフェンタニルやケタラール、アセリオなどを追加投与する。

でもこれって、アルチバがないころはそうしていたことだ。

吸入麻酔薬で維持していて、痛みの強い手技のときにフェンタニルやケタラールを投与する。

だから麻酔科医はいつも術野をみている。

術野をみながら麻酔管理をしている麻酔科医はどれだけいるのだろうか?!

術野どころか、自動麻酔記録装置の普及もあってバイタルのモニターさえみていない強者もいる。

 私は外科医の一歩先を読んで麻酔管理している(していた?)。

それにより侵襲の強い手技の前に、フェンタニルやケタラールを投与できる。

バイタルに変動があってから投与したのでは、麻酔チャートにはノコギリの刃が描き出される。

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そういえば、ミズチバ(ナイチバ)って知ってる。

誰でも1度や2度はミズチバにヒヤッとしたことがあるだろう?!

そうアルチバの溶かし忘れである。

もちろんいくら投与量を上げても効果はない。

ところでなぜ溶かし忘れが生じるのだろう? 

私が思うに、最近は溶かすことをしなくなったからじゃないか!?

麻酔科医がよく使用する薬剤は、ディプリバン とフェンタニル、エスラックス、ブリディオンである。

これらはどれも溶かすことを要しない。

一々溶かしている時間がもったいない。

ところが考えてみたら昔は、、、
 
マスキュラックス、イソゾール、ラボナールなど、どれもみんな溶解していた。

ということは・・・・・、

ある一定以上の年齢の麻酔科医ではミズチバになりにくいのではないか?

う~ん?統計をとってくれる方おりませんかね?

参考書籍;

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