麻ペ漢.BLOG

麻酔科医による麻酔科医と麻酔科研修医のためのブログ & 麻酔科医、次の一歩『ペインクリニック』専門医合格集中講義

2016年07月

逆流性食道炎を合併した患者の麻酔導入に、セミ「クラッシュ」で行っているところ多くなりましたね。
※セミ(semi-、半、いくぶん、やや)って、なんなんということはおいときましょう。そういえばセミオートマなんてのもありますね。

ところで、「クラッシュ」が何のことだかわかりますか?

誤嚥のおそれのある場合に行う導入法の呼び名である。

クラッシュ、crash
物が倒れたり、こわれるときのすさまじい音;雷などのとどろき≪ガチャン、ガラン、ドシン、ゴロゴロなど≫。激突。倒産、暴落。

では、この「クラッシュ」の正式名称は何ですか?

迅速導入? 急速導入?

手元にある『STANDARD TEXTBOOK 標準麻酔科学 第3版』のp142右には、

急速導入 crash induction

と書いてある。

日本麻酔科学会編『麻酔科学用語集 第3版』によると、

急速導入:きゅうそくどうにゅう、rapid induction

迅速導入 :じんそくどうにゅう、rapid sequence induction


である。

※注釈
rapid:速い、急な、迅速な
sequence:原義「後に従うもの」 ⇒ 連続
induction:導入

ウエブ上の第4版にも、crash inductionという記述はない。⇒http://www.anesth.or.jp/info/pdf/glossary.pdf

「クラッシュ」は、急速なのかそれとも迅速なのか?

手元にある『広辞苑第五版』によると、

急速:いそぐこと。物事の進展が速やかなこと。

迅速:すみやかなこと。きわめてはやいこと。


とある。

うーん(゜-゜)、まったく区別がつかないゾ。

あなたは、誤嚥のリスクがある患者の麻酔導入の「クラッシュ」は、急速ですか?それとも迅速ですか?

rapid induction、rapid sequence inductionというのもまったく区別がつかない…。

困った、困った。

そういえば、子供の導入でよく使う、

緩徐導入:かんじょどうにゅう、slow induction

というのもありますね。

(i)麻酔科医の諸君!電子辞書は手元に持っておこうね。

 カシオ 電子辞書 エクスワード 医学プロフェッショナルモデル XD-K5900MED
 


今、「クラッシュ」といえば、

迅速導入 :じんそくどうにゅう、rapid sequence induction

のことですね。 

おはようございます。
みなさん、『日本ペイクリニック学会第50回大会(横浜)』お疲れ様でした。 

日本ペインクリニック学会

今大会は何といっても、世良田先生が会長でしたから「漢方治療」が注目でした。

木曜日の「オープニングリフレッシャーシンポジウム」に始まり、金曜日「漢方薬処方の応用編」、土曜日「漢方の実際とひとひねり」と一連の流れで基礎から応用、コツを学べるようになっていましたね。

ですが、
私としては昨年の日本ペインクリニック学会第49回大会の竹田先生の講演を聞いた時以上のインパクトはなかったのが残念でした。

その竹田先生、今学会に合わせてかどうかは定かではありませんが(絶対そうでしょう)、『「とりあえずロキムコ」から脱却!痛みの漢方治療“効く”First Step』を発行!!木曜日の「オープニングリフレッシャーシンポジウム」でいきなり宣伝してました。

で、すぐに買ってしまいましたw。



↑コレまさに入門用として最適。私もそうですが、ほとんどのペインクリニシャンは、漢方だけで治療をしようとはしません。西洋薬や神経ブロックなどと合わせて「漢方」を使いたいと思っています。痛みの治療の引き出しを多くしたいのです。

矢数先生の「レーダーチャートで考える6つの病態と治療戦略」は、取っ付き難い「漢方」を身近に感じさせてくれました。でも、そうはいっても「漢方」って難しいと思ってしまいます。古典とか勉強しないといけないんだなと。

ですが、竹田先生あんたは偉い!『「とりあえずロキムコ」から脱却!痛みの漢方治療“効く”First Step』を読んだら、すぐに実際に診療してみたいと思う。これ大事。「漢方」どんどん実際に使ってナンボ。



『「とりあえずロキムコ」から脱却!痛みの漢方治療“効く”First Step』と合わせて、『絵で見る和漢診療学』も読む。寺澤のスコアって凄いんです!寺澤先生は偉大です。これで結構日々の痛みの診療に幅ができるヨ。

【竹田先生の参考文献(おすすめの図書)】

1.寺澤捷年 絵で見る和漢診療学

2.高山宏世 腹證図解漢方常用処方解説(いわゆる赤本)※私はツムラの担当者からいただきました。

3.浅岡俊之 Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬

4.新見正則 3秒でわかる漢方ルール

5.矢野忠 鍼灸療法技術ガイドⅠ

6.矢野忠 鍼灸療法技術ガイドⅡ




 

術中、胃管はどうしてますか?
開放していますか?クランプしてますか?

せっかく苦労して挿入した胃管、クランプしたままなんていけませんね。
開放している方、どのように開放してます?
一番は、尿道カテーテルに付けるようなバックに繋げることでしょう。でも、そんなことしている麻酔科医はいないでしょう。で、カラの点滴ボトルの底に穴を開けてそこに先を突っ込んでおく、もしくはビニール手袋で先を包んでおく。

これでは結構な頻度で漏れる!床やベット、あなたの手が、胃液まみれってことになる。

ではどうするか?

こうする↓↓↓
胃管と点滴ボトルのいい関係


点滴ボトルのおススメはヴィーンFなどの刺すところが1個のモノがいい。ヴィーンDでも、フィジオ140でも生食100でもいいのだが、刺すところが3か所あるフィジオ140はちょっとコツがいる。

 点滴ボトルを使用するメリットは、汚れないだけではない。持続的に低圧で吸引されるのが良い。これは単に開放しておくよりもいいのである。


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日本ペインクリニック学会 第50回大会

会 期 2016年7月7日(木)~9日(土)

会 場 パシフィコ横浜

会 長 世良田 和幸(昭和大学横浜市北部病院 病院長)

テーマ 「過去から未来への橋渡し」 今、私たちは何を残し、何を伝えるべきか?

ホームページ http://web.apollon.nta.co.jp/pain50/ 


痛み。

痛みは、生きる者すべてにあるものである。
過度の痛みは、人生を狂わす。
人それぞれ痛みの感受性が異なる。
その時の感情によって、痛みが違う。
我々は、痛みに対してなにができるだろう。
ペインクリニシャンの責任は重い。
重いが、遣り甲斐のある仕事である。

【ペインクリニシャンになるための本】

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