麻ペ漢.BLOG

麻酔科医による麻酔科医と麻酔科研修医のためのブログ & 麻酔科医、次の一歩『ペインクリニック』専門医合格集中講義

なんか、心臓麻酔科医はちょっとすげ~みたいな風潮がある。

経食道心エコーなんかちゃちゃっとできたらカッコいい。

周術期、心外に的確なアドバイスができたならもう周りは教祖様状態だ。

でもだよ。

どこがすげ~っだろう。

俺なんて術後は手術室で覚まさなくっていいし、

人工心肺中はほとんど何もすることないし、、、

「技術屋」っていう感じなんだよな。


俺が麻酔科医になったとき、先輩から「管屋」になるなと言われた。

挿管、硬膜外カテーテル、点滴、A-ライン、胃管などなど麻酔科医はまさに「くだ」との格闘である。

まさに職人技。

しかし、それは麻酔科医の本題ではない。

如何に周術期管理を行うか?

麻酔管理の良し悪しが、患者の予後に大きく影響する。

私たちは麻酔科医である前に医師である。

技術屋になってはいけない。


とはいっても、頭でっかちの麻酔科医は嫌われる。

仕方ない、経食道心エコーを極めますかね。


【オススメ書籍】

まずはやっぱりこの2冊から。
『初心者から研修医のための経食道心エコー』


初心者から研修医のための経食道心エコー―部長も科長もみんな初心者
初心者から研修医のための経食道心エコー〈2〉―部長も科長ももう初級者

「心臓」で迷子にならないために地図を持とう。
『心臓外科医が描いた正しい心臓解剖図: 透視図→心カテ 断面図→心エコー 見たいところが見える』




資格はとれるものはとれるだけとれ!これ鉄則。
→日本周術期経食道エコー認定委員会
http://www.jb-pot.com/

テスト対策は大切です。
『周術期経食道心エコー図―効率的に学ぶために』



暗記対策:『ずるい暗記術』



「答え→答えと問題→答えと問題、解説」でやれば、忙しいあなたも大丈夫ですから。

私が医学生の頃は、漢方薬なんてものは民間薬レベルのものと考えられていた。

もちろん、授業で習うなんてこともなかった。

今では、医学部の講義のカリキュラムに組み込まれている。

そして、漢方外来も、漢方専門医も増えた。

ほとんどの医師が漢方薬を処方している。

【漢方診療のレッスン】

しかし、この漢方薬に対する取っつきにくさはななんだろうか?

薬(西洋薬)を処方するとき、前提として診断がある。

診断が確定していない段階で、薬を処方することはあるが、それでも何かしらの根拠に基づいている。

薬には適応症があるからだ。

では漢方薬はどうだろうか?

糖尿病にはこの漢方薬、高血圧にはこの漢方薬、、、、、

というふうにはいかない。

そこが漢方薬を取っつきにくいものにしている原因だ。

【臨床医のための漢方薬概論】

だが、これこそ漢方薬の優れたところである。

漢方薬で、すべての病気に対して治療することは現実的ではない。

薬と病態が、一対一で対応可能なら、漢方でなくていいだろう。

漢方薬は、対症治療しかない病態に対して大きな可能性を見出すことができる。

【症例から学ぶ和漢診療学】

習うより慣れよ Practice makes perfect.


漢方薬は、実際に処方して診るしかない。

使っているうちにコツがつかめてくる。

日々のペインクリニック外来において思うことは、

治療薬の持ち駒の少なさである。

最近でこそ、痛みに対する治療薬としての薬が使えるようになってきた。

でも、副作用の方が強く、肝心の痛みが緩和されないなんてこともある。

持ち駒を増やすためには?

そこで脚光を浴びることになるのが「漢方薬」だ。

麻酔科医ならLiSAを購読している人も多いだろう。

2013年から矢数芳英先生の「漢方の歩き方 -レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略-」が連載されている。

ここで捕捉だが、「漢方の歩き方」を参考にしながら、花輪寿彦先生の『漢方診療のレッスン』を読むとわかりやすい。




”痛み”はあらゆる病気に付随する。

古来より、

病気を治すとは、”痛み”をとること

であった。

ならば、”痛み”に漢方が効果的であるというのも納得がいく。


(書籍紹介)これで(↓)あなたも漢方と東洋医学が身近に?!



(学会案内)
「第29回日本疼痛漢方研究会学術集会」が2016年7月2日に東京で開催される。

ペインクリニシャンを目指すなら参加することをオススメする。

日本疼痛漢方研究会
http://www.k-kenkyukai.com/toutsu/


医者で英語ができないヤツいるんだろうか?

医学部受験において、英語ができないことは死活問題である。

だから、英語ができないなんて考えられない!?

いや、マテよ。

「受験英語で高得点がとれる」と「英語ができる」とは同義だろうか?

「英語ができる」とは、ネイティブ(英語話者)と「論争」ができるということだ。

英語話者相手に臆することなく意見を戦わせられるということだ。



私たち医師は、新しい知識を吸収するために英文専門雑誌を読む。

また、日々の研究の成果を英文専門雑誌に投稿する。

だが、あなたは英語話者相手と英語で意見を交わすことができるだろうか?


国外の学会に参加すれば、もちろん英語で発表することになる。

最近は、国内の学会でされ英語で行われることも珍しくない。

医学部の授業も、英語で行うところも増えてきている。

国内企業同様に、英語化の波が医療分野まで進んできた。



学生時代は英語が得意だった人も、そうでない人も、

This is a pen.レベルの中1レベルの講義、発表にならないために、

もう一度ブラッシュアップする必要があるだろう。

(i).TOEIC980点獲得!ラクラク英語マスター法。

ペインクリニシャンを目指すなら、

日本ペインクリニック学会認定の専門医になろう。

専門医試験対策をすることで、

ペインクリニシャンとしての基礎が出来上がる。

あとは日々の臨床で磨き上げればいい。

【試験対策】

まずは、敵を知る。

専門医試験の過去問をゲットしよう。

これを自力で解くなんていう馬鹿なことはしない。

問題と模範解答を読んで理解すればよい。

この辺の学習の仕方は、『ずるい暗記術』に詳しい。



ぜひ参照して、大学受験の頃の感覚を取り戻してほしい。

日々の臨床に追われて、試験対策しなければ落ちます。

3~5年分の過去問をすれば合格ラインはなんとか突破するレベルになるだろう。

ちなみに私は10年分やった。

過去問は、日本ペインクリニック学会のホームページにあります。
http://www.jspc.gr.jp/(学会誌閲覧より)

なお、過去問の関連する分野を『ペインハンドブック―ペインクリニック・疼痛緩和Q&A 199』と『ペインクリニシャンのためのキーワード100』でチェックし頭の中を整理した。


あと、漢方もお忘れなく。

とくに口頭試問で焦らないためにも『漢方診療のレッスン』ぐらいは読みましょう。



28のコツ

1.局麻は刺入部にしっかりと。

2.針先を骨にあてないこと。骨の一歩手前でとまれ!

3.針を抜くときは、刺した方向にそのまま戻ること。

4.透視下ブロックのときは手元ををみるな!モニターをみよ。

5.確実性を高めるなら投資下でせよ。とくに硬膜外ブロック。

6.透視下硬膜外カテーテル挿入:入れたい部位の身体の下に”まくら”を入れよ。体位は腹臥位で。

7.透視下ブロックでは、Cアームの角度がポイントである。

8.針で神経を刺すな!”放散痛”はない方がよい。

9.神経の一歩手前で局麻を注入すれば効果は得られる。

10.仙骨硬膜外ブロック:頭側から指で押していくと、凹むところが”仙骨裂孔”。体位は腹臥位で。

11.透視下硬膜外カテーテル挿入と外来での仙骨硬膜外ブロックは”腹臥位”でおこなう。



12.神経ブロック薬剤メニュー:1%Lido.+アナペイン+(生食)+メチコバール1A+(ノイロトロピン)+(デカドロン)

13.患者本人に”デルマトーム”の図をみせて、痛い部位を示させよ。

14.ペインクリニック基本テキスト:①図説ペインクリニック ②標準整形外科学

←古いですが、他に良い本がないので。。。


15.カルテは”SOAP”できちんと書け!とくに”S”は患者の言葉ですべて書け。

16.糖尿病の患者は内科でコントロールしてからブロックせよ。

17.抗凝固薬服用の患者では、脳外や血管外など投与している科に中止してよいかきいてから。

18.ブロックする前に、出血凝固系の検査を必ずチェックする。

19.今いるところであまりブロックをしていないようなら、ブロックをたくさんしているところに国内留学せよ。

20.ブロックだけでなく、ライザー、Xe、薬などを効果的に使用せよ。

21.フレッシュな顔面神経麻痺は入院して1日2回SGB+1日1回低分子デキストラン250mLdiv。眼科と耳鼻科へ対診に出せ。

22.”二の腕”が痛い患者は肺癌を疑え。

23.治療だけでなく、診断のためにもブロックをせよ!

24.次回の診察時にブロックの効果をフィードバックせよ。

25.一つのブロックだけでなく他のブロックも試せ。

26.透視下硬膜外ブロック:まずカテラン針で上下の椎体を確認せよ。

27.急に痛みが強くなった時のために、内服薬や坐薬を処方せよ。

28.放射線防御用手袋などで放射線被爆から自分の身は守れ!!!


薬剤誤投与防止対策
(図1)薬剤誤投与防止対策

麻酔管理上気を付けなければいけないこと、その一つに薬剤誤投与がある。

麻酔科医が使用する薬剤は、毒薬だったり、循環や呼吸に関係するモノである。

その誤投与は即重篤な合併症を引き起こす。

人は間違いを起こす。

誰でも。

麻酔管理になれていない新人、そして、ベテラン麻酔科医も誤投与を起こす。

薬剤誤投与のリスクを少なくする努力が必要である。

その一つとして、写真(図1)のようにすることをオススメしたい。

薬剤を投与するときは、シリンジの目盛りをみて投与する。

これは誰でもすることである。

この時に、薬剤がなんであるか一目でわかるようにすれば誤投与のリスクが低下する。

目盛りを見るときに、薬剤のネームシールが見えるように貼ることがポイントである。

これは簡単にできる方法である。

このちょっとしたことが、あなたを医療事故から守る。



また、

薬剤は希釈して使用するが、濃度を書かない麻酔科医がいる。

麻酔管理はチームで行われる。

各施設で使用する薬剤の濃度を一定にすることは当然である。

濃度が書かれていないと希釈した者以外が使用するときに問題となる。

緊急時に使用しようとしても使用できない。

ちょっとした濃度の差で、大きな反応の違いを示すからだ。

濃度はきちんと書こう!


(補)薬剤誤投与の事例

アルブミン製剤とラボナールの誤投与


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